Un article de Dora Tauzin, paru dans le journal Asahi (édition du soir) du 21 février 2008
ずっと大切な「お父さん」
一時帰国していたフランスから日本の家に帰ると、愛する妻と娘の姿がない。置き手紙には「連絡は弁護士へ」。友人のジャック・コローさんの苦難はこんな場面から始まりました。
パリでは夫婦の2組に1組は離婚する、なんて言われていますが、子育てを望む男性の増加もあって、離婚した家庭では、平日と週末に分けてそれぞれの親と暮らす子どもが増えています。フランスは「共同親権制」。子どもには、父親、母親どちらとも交流する権利が保証されているのです。
日本でも離婚が増えていますが、子どもに会わせてもらえない親も増えています。それは、日本は「単独親権制」だから。親権のない親(たいてい父親)は、「会わせたくない」という親権者の意向で、親子の関係を絶たれてしまうのです。コローさんは子どもに会うための戦いをもう4年も続けています。離婚が成立した際に家裁で取り決めた、週に1度の面会の約束は1回も果たされていないのです。誕生日のプレゼントすら渡せないなんて!
コローさんのように日本人との国際結婚の場合、ハーフの娘はもうひとつの祖国フランスと触れ合うチャンスを奪われてしまいます。これは、彼女にとってアイデンティティーを確立していくうえで重要な問題です。
夫婦の関係が破綻(はたん)しても、親子の関係まで引き裂かれることはないはず。共同親権を法制化し、離れた親に会う権利を守るべきではないでしょうか。日本でも子育てに熱心な男性がずいぶん増えていますよね。私にとって父の存在はとても大きいし、今もふたりで旅行するほど仲良し。お父さんの役割は子どもにとって大切なんです!
Dora Tauzin(ドラ・トーザン) / フランス人国際ジャーナリスト
【2008年2月21日、朝日新聞マリオン】